豊かさを感じられにくい時代

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私たちが住む日本は、世界一の金融資産を持つ豊かな国と言われています。

不動産や株式、預貯金などの個人資産、生活インフラ、通貨の価値、大企業から中小・ベンチャー企業までの国際的競争力、教育・文化の水準、社会生活の安全性、自然環境・・・など、挙げればきりがないほど、日本は豊かで恵まれた国といえるでしょう。

また、日本人の勤勉さや能力の高さは、世界的に評価を受けています。

しかし、この豊かで恵まれた国で、知識、能力の高い人たちが勤勉に働きながら、多くの人が豊かさを感じられていないという事実があります。このことを如実に表しているのが次の表です。

戦後以降、日本のGDP(国内総生産)は伸び続け、それに比例し国民の生活満足度は上昇していました。それが、1987年をさかいに、GDPの伸びと生活満足度が反比例をするようになったのです。

この表からは、高度経済成長時代からバブル経済時代を経て、国民が年々我慢を強いられる度合いが高くなってきている、という状況を読み解くことができるでしょう。

「勤勉な日本人」という海外からの評価はありがたくはありますが、「好きで勤勉や倹約をしているのではないんだ」という本音を言いたくなります。

かりに、勤勉や倹約を強いられる状況であったとしても、働いただけの成果があれば、我慢のしようもあるのかもしれません。

しかし、円安による物価の上昇、実質賃金の低下、消費税の増税、社会保障の減額などの施策が追い打ちをかけ、生活を楽しむ経済的、時間的余裕はますます少なくなってきています。

これらを裏付けるように、厚生労働省の国民生活基礎調査で「生活が苦しい」と感じている世帯の割合は、2014年7月時点で過去最高の62.4%に上っています。

このような社会、経済環境であっても、ビジネスオーナー、大企業や高収益の企業に勤務するビジネスパーソン、十分な資産と貯蓄がある富裕層、公務員などにとっては、現在の状況にさしたる危機感を感じていない場合もあるでしょう。

しかし、現在の状況に危機感を感じられないということは、もはや知識不足であると言わざるをえません。

特に近年の政府の動きからは、TPPの批准、20%以上の消費税、預貯金への資産課税、社員の継続雇用義務の撤廃、医療保険制度の縮小などの施策が、着実に準備されていると考えています。

経営コンサルタントとしてこれらの影響を考えると、どれか一つでも施行された場合には、業種や企業規模を問わず、大多数の企業と公務員を含むすべての国民に甚大な経済的被害を及ぼすと考えています。

私自身もこれらの予測が杞憂となることを望んでいます。

また、これらの政策のもととなっている日本や世界を覆う「特定の人々のビジョン」が、すんなりと達成されるとは考えていません。

しかし、これらの問題の本質は、私たちは法律や制度などの社会システムから逃れられないこと、政策決定に個人のちからが及ばないことにあります。

国の経済や国民の満足度というマクロの視点から、豊かさを述べました。

社会や国の政策、「国民」の幸福や豊かさを語ること、政治に対する批判的精神はいつの時代であっても重要なことで、関心は持ち続けるべきだと思います。

また、私たちは、このような困難な時代に生きながら、自分や家族、社員などの仕事や生活を守る必要もあります。まずは豊かになることを自分が求め、実現していくことに向きあう時代が到来したといえるでしょう。

 

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