作れば売れるという過去の事業環境では、量産による価格競争だけがあった時代でした。
このような古き良き時代も過ぎ、リサーチやマーケティング手法の確立、個人のカード使用履歴、ネット利用状況などのパーソナルデータの活用が行われ、個人の志向やニーズに合ったターゲティング広告が行われるというところまで来ています。
また一方では、企業が商品開発や販売を行うためにSNSなどを活用し、有機的に消費者の「こころ」に共感を生むような取組みも行われています。
国際的な非営利活動の広報活動においても、著名なコピーライターが起用されるなど、広告などの訴求方法が改善され続けています。
最もマーケティングに遠かった農業分野でさえ、消費者に直接販売する場合などにマーケティングを活用し、成果を上げています。
従来、専門的とされていたマーケティングの手法がどんどん一般化し、最新のマーケティング手法でさえも、すぐに模倣されるようになってきています。
しかし、ここで問題が生じます。
それは、マーケティング手法が一般化され、陳腐化してしまうことにより、どの企業から販売された商品も、消費者から見ると特徴がなくなってしまうという問題です。
いったん差別性や優位性がなくなった商品やサービスは、あとは価格競争、利便性でしか勝負できなくなり、その業界全体が低付加価値となってしまいます。
その事業環境のなかで、新しいコンセプトを考え、マーケティングが成功したとしても、あっという間にその手法は全国的に広がります。
これが、現在のような情報化時代のマーケティングの陳腐化問題です。
このような状況は、生産者やサービス提供者が生き残りのためにしのぎを削ることになるため、消費者にとってはとても望ましいことといえるでしょう。しかし、供給者側にとっては果てしない消耗戦に陥ってしまいます。
商品やサービスばかりではなく、マーケティングも成熟化の時代をむかえた現代において、ビジネスは実行する前から成果がわかるという状況まで来ているといえるでしょう。このように今の時代は、高度なマーケティングは常識的に行われるものであり、ビジネスの決め手になるものではないということを認識しておきましょう。
これからの時代のビジネスの成功要因
20世紀のビジネス環境においては、「ビジョンが事業の成果を生む」と言っても、「それは大企業が行うことで、うちの会社は関係ない」「そんなの無くても儲かっています」などと言われたことでしょう。
それが現代では「その企業や経営者が何をめざしているのか」という企業ビジョン=経営者のビジョンが顧客の共感を呼ぶようになってきています。
さらには、その企業のブランドイメージ、社会貢献、ものづくりの姿勢、経営者の独自のイデオロギーやビジョンにまで関心を持ち、経営者との関係性までを求めているのです。
そして、その企業の商品やサービスを購入するということは、その会社のビジョンが投影された商品やサービスが欲しいということでもあるのです。これは、私たちの個人的な日々の購買活動や、モノを選択する基準の一つでもあるはずです。このように顧客の心を惹きつけることができる企業の顧客は、その会社に対するロイヤルティ(忠誠心)が高く、その企業と商品やサービスをかけがえのない存在としてとらえることになります。
また、このような流れは工業製品だけに表れているものではありません。あらゆる業界において商品やサービスが、測定できる物理的な価値から使用感、便利さ、感動などの目に見えない価値にウェイトが移行してきています。
そして、その目に見えない価値の最たるものが、企業側、提供者側のビジョンなのです。
現代は、モノやサービスの品質、価格、マーケティングだけで差別性、優位性を保つことは困難です。ビジョンという見えない価値を創造し、ビジョンが具体化したここにしかない商品やサービスを提供する。これがビジネスの成功要因となっているのです。
ビジョンによる集客
これまでのビジネスでは、市場のシェアを獲得する、競合に勝つといったことを指標とし、戦略に基づく活動を計画し、実行していました。
これに対し、ビジョンをもとにしたビジネスでは、「私のこのビジョンに共感してくれる人は地域、全国、世界でどれくらいいるだろうか」という発想をします。
個人事業を例にすると、「日本中で100人に自分の考えが理解され、深くつながることができると、ビジネスが成立する」というように、最小限から考えてみましょう。また、あなたが1人の顧客を見つけた場合、その1人の顧客の背後には、潜在的な顧客が何人いるでしょう。これらを組み合わせ、繰り返しを行うことで、新しいマーケットの創造ができる時代です。
「顧客を見つける」と書きましたが、実はこれは過去のパラダイムです。これからの時代の集客は、「顧客があなたを見つける」ことで集客が行われるのです。その顧客に見つけられるためのフラッグがビジョンなのです。
究極のオリジナリティは「自分らしさ」】
それでは、どのようにあなたのビジネスに共感してもらい、顧客に見つけてもらえば良いのかを具体的に述べましょう。
それは、オリジナリティです。究極のオリジナリティとは、世界に二つとないものです。顧客がオリジナリティの高い商品やサービスに触れ、気に入ると、その企業や商品は、顧客にとってかけがえのない存在となることができます。もちろん、商品やサービスはオリジナリティだけではなく、ビジョンや商品コンセプトにふさわしいレベルの品質に磨きあげておくことは言うまでもありません。
また、世の中にはオリジナルな商品やサービスを考えにくい業態も存在します。そのような業態であっても、ビジョンによってオリジナリティを創造することはいくらでも可能となるのです。また、セールスパーソンの場合であっても、販売するのがあなたであれば「あなたから買いたい」と顧客に思ってもらうことがオリジナリティを追及した成果と言えます。
このように、自分らしさ、あるいは自社らしさから発生したビジョンは、究極ともいえるオリジナリティとなり、あなたや会社、商品、サービスをかけがえのないものとして顧客に認識されることが可能になるのです。
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